▶地域医療構想を踏まえた公立病院の改革に向けた総務省の有識者会議が先月、初会合を開催した。総務省が昨年公表した「新公立病院改革ガイドライン」に基づき、各公立病院は今年度中に新公立病院改革プランを策定予定だ。
▶「新」ガイドライン、「新」プランとあるように、公立病院改革はこれが第二弾。第一弾の公立病院改革は総務省が2007年に公表した公立病院改革ガイドラインに基づいて実施されており、経営改革を促す色彩が強い。内閣府が今年8月に発表したレポート「公立病院改革の経済・財政効果について」では632施設の経営状況を分析した上で、各公立病院が直面する環境に合わせた経営改革の処方箋を描くことが必要と結論付けている。
▶へき地医療拠点病院の61.8%、救命救急センターの36.2%が自治体病院となっており、公立病院は採算確保は困難だが地域医療に不可欠な分野を担っている。一方、公立病院は民間病院より建設費が高いといった経営面の課題が指摘されている。首長は医療施設を豪華にするほうが選挙で票が集まりやすい。しかし、高額な建設費は当然のことながら病院経営を圧迫する。新公立病院改革ガイドラインもこれを問題視し、「建築単価の抑制を図る」「整備費の抑制に取り組むべき」「維持管理費の抑制を図ることも重要」などと記載。同ガイドラインのQ&Aで建築単価の上限を36万円/m2と定めている。
▶新公立病院改革の主眼は、地域医療構想策定の動きを踏まえて公立病院の各地域での役割を明確化することだ。各地域で必要とされている医療分野を支える医療従事者のモチベーションを高める改革を期待したい。