厚生労働省は11月28日の社会保障審議会医療部会に、かかりつけ医機能の制度整備に関する具体案を提示した。医療機関が自院のかかりつけ医機能を都道府県に報告する制度を創設。国民向けの対応では、かかりつけ医機能の定義を法定化した上で、医療機能情報提供制度の情報提供項目をわかりやすい表現に見直し、かかりつけ医を探しやすい環境を整える。
厚労省の提案は、(1)医療機関におけるかかりつけ医機能の強化、(2)国民・患者がかかりつけ医を選択して利用できる環境の整備―が大きな柱。いずれも、政府の全世代型社会保障構築会議が11月24日にまとめた論点整理の内容が下敷きになっている。
(1)では、「かかりつけ医機能報告制度」を創設。都道府県は医療機関に、▶外来医療(幅広いプライマリケア等)の提供、▶休日・夜間の対応、▶入退院時の支援、▶在宅医療の提供、▶介護サービス等との連携―の5つの機能を担う意向の有無や、意向がある場合は提供方法(単独か他院との連携か)の報告を求める。都道府県は5機能を併せ持つ医療機関を確認・公表。地域における機能の充足状況も確認し、不足があれば対応策を地域の協議の場で検討する。
医師と患者が互いに「かかりつけの関係」にあることを確認するため、医師が継続的な医学管理が必要と判断される患者に書面の交付と説明を行う仕組みも導入する。
(2)では、かかりつけ医機能を「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う機能」と定義し、法定化。医療機能情報提供制度は、国民・患者にとって今よりもわかりやすい仕組みとなるよう、かかりつけ医機能に関する情報提供項目を見直す。詳細は今後検討するが、たとえば、▶対象者の別(高齢者、子どもなど)、▶日常的によくある疾患への幅広い対応、▶入退院時の支援など医療機関との連携の具体的内容、▶休日・夜間の対応を含めた在宅医療や介護との連携の具体的な内容―などを想定している。
2023年度に制度設計の議論を進め、かかりつけ医機能報告制度は24~25年度頃に個別医療機関からの報告と地域の協議の場での議論を実施。医療機能情報提供制度の情報提供項目見直しは、24年度以降の全国統一システムの導入に合わせて実施する考えだ。