日本医師会の松本吉郎会長は3月26日の日本医師会臨時代議員会で、政府の全世代社会保障法案に盛り込まれた「かかりつけ医機能報告制度」について、「国民が望んでいない人頭払い、登録制、認定への懸念は払拭できた。あくまでも『かかりつけ医機能が発揮される制度整備』であり、かかりつけ医制度にはなっていない」と強調した。これは冒頭挨拶で述べたもの。
ブロック代表からの質疑では、この「かかりつけ医機能報告制度」に質疑が集中。「法案では、(医師が行う)患者への書面の交付は任意の形になっているが、実際には義務化と同じになるのではないか」「健保連は(報告制度が)『かかりつけ医制度への第一歩だ』と言っている」など、なお警戒する声が上がった。
答弁に立った城守国斗常任理事は、「法案には『かかりつけ医』という医師個人についての定めは一切ない。かかりつけ医機能として、医療機関が自主的に報告するものだ。したがって、法案に記載されているのは『かかりつけ医制度』ではなく、あくまでもかかりつけ医機能が発揮される制度だ」と説明。今後、省令で定められる報告の範囲については「審議会で日医の考えをしっかり主張していく」と述べ、理解を求めた。
このほか質疑では、医療DX、後発医薬品の不足問題、高齢者施設での医療提供のあり方、医師会組織率向上策などが取り上げられ、執行部の見解が質された。
松本会長は冒頭挨拶の中で、来年度から始まる医師の働き方改革についても言及した。日医は昨年10月から医療機関勤務環境評価センターの指定法人として、特例水準の取得の申し込みを受け付けていることを紹介。特例水準の中のC-2水準(医籍登録後6年目以降で、高度な技能習得のためやむを得ず年960時間超の時間外・休日労働をする医師に適用)は日本の医療の発展のためには不可欠な仕組みであるとして、「大学病院、基幹病院、学会の先生方、志のある若い医師の皆様にはC-2水準の申請を改めて検討していただきたい」と呼びかけた。
代議員会では、現在10名の常任理事を14名に増員する定款・諸規定改正案が議案として上程され、これを可決した。平成元年に現行の10名に増員されて以降、役員の業務が飛躍的に増大し、多様化していることがその理由。
今年6月の定例代議員会で4名を加える予定で、松本会長は答弁の中で、「任期の途中で(執行部に)入るので、私の腹案としては、全国を4つの地域に振り分けて1年間しっかりと会員の増員と医政活動をやっていただく。そういったことを含めての増員だ」と述べ、地域との連携を密接に図る考えを示した。