厚生労働省は、今後の地域医療構想の進め方を整理した通知を3月31日付で都道府県に送付した。構想区域内の医療機関における対応方針の策定率について、毎年目標値を設定して進捗管理することなどを新たに求める。
地域医療構想については、民間を含むすべての医療機関の対応方針の策定や検証・見直しを2022~23年度の2年間に行うことになっている。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で地域医療構想調整会議を頻回に開催できなかったことなどもあり、全体的なスケジュールは遅れ気味。このため厚労省の第8次医療計画等に関する検討会が昨年末にまとめた意見では、都道府県が23年度に進める次期医療計画の策定作業に合わせ、追加的対応を実施する方針が打ち出されていた。
こうした経緯を踏まえ通知は、都道府県に対して毎年度、各構想区域における対応方針の策定率について目標値を設定し、PDCAサイクルに沿った取組を推進するよう指示。23年度当初の段階で既に策定率100%を達成している構想区域に関しては、代わりに地域医療構想調整会議で合意した対応方針の実施率を目標に設定することを求めた。
進捗状況を検討する過程で、病床機能報告の結果を積み上げた25年の見込病床数と医療需要予測から推計した病床数の必要量に、データの特性だけでは説明できない差異が生じている構想区域があることが発覚した場合は、地域医療構想調整会議で要因の分析や評価を実施し、結果を公表する。差異の原因として非稼働病棟の影響が考えられる場合は、当該病棟を保有する医療機関に調整会議での説明を求める。病床過剰地であって当該病棟の必要性が低いと判断される場合は、都道府県知事による病床削減の命令や要請も視野に対応を検討する。
一方、複数の医療機関の再編を検討している区域(再編検討区域)には、重点支援区域の申請の要否を判断するまでの間、国が新たに技術的支援を行う。支援内容は、▶調整会議への地域の医療事情に関するデータの提供、▶都道府県が関係者との議論を行う際の資料作成支援―などを想定。検討の結果、再編や重点支援区域への申請を行わないという判断もあり得るため、厚労省は、国に支援を依頼する段階で重点支援区域の申請を前提とする必要はないと説明している。