MSDのカイル・タトル社長(写真)は4月5日に開いた記者会見で、COVID-19治療薬「ラゲブリオ」の上市、積極的勧奨再開によるHPVワクチン「ガーダシル」の接種者増加、免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」の適応追加などが成長ドライバーとなって、2022年の国内の売上高は前年比24%増の2920億円(ラゲブリオ政府購買分等を除く)となったと発表した。
タトル社長はキイトルーダについて2017年の発売以来、19の適応症の承認を取得し現在も8の適応症の開発を進めており、「日本国内の多くの患者のがん治療に貢献している」と強調。一方で、売上数量は順調に伸びているものの、度重なる薬価改定(△48%)で売上はここ数年フラットになっているとし、薬価制度の改革を強く訴えた。
タトル社長は、日本の薬価制度のうち市場拡大再算定を類似薬にも適用する「共連れルール」に特に強い不満を示し、「共連れ再算定の廃止を目標とした薬価制度改革をお願いしたい」と述べた。
会見に同席した白沢博満グローバル研究開発本部長は開発パイプラインを説明。ワクチンに関しては9価HPVワクチン「シルガード9」の頭頸部がん予防への適応拡大などを目指すとした。
2023年のMSDの戦略目標
①新製品・新適応症の上市を加速・最大化 ②HPV関連疾患から人々を守るための取り組みを加速 ③薬価制度の長期的改革をリード ④デジタル・データ分析を強化し、業界をリードする顧客体験を提供 など