塩野義製薬は3月27日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬「ゾコーバ錠」(一般名:エンシトレルビル フマル酸)について、曝露後予防の適応追加の承認申請を行ったと発表した。承認されれば、新型コロナの曝露後予防で初めての経口抗ウイルス薬となる。
ゾコーバは北海道大学と同社の共同研究から創製された新型コロナ経口抗ウイルス薬。SARS-CoV-2の3CLプロテアーゼを選択的に阻害し、ポリタンパク質の切断を阻止することでウイルスの複製を抑制する。
同剤は軽症患者も使える国産初の新型コロナ経口薬として、2022年11月に国内で緊急承認、2024年3月に通常承認された。投与期間は5日間で、症状が発現してから3日目まで(72時間以内)に初回投与を開始することとされている。
今回の適応追加の申請は、新型コロナ患者の同居家族または共同生活者を対象に実施したグローバル第3相曝露後発症予防試験(SCORPIO-PEP試験)の良好な結果に基づき行われた。ゾコーバ投与群はプラセボ投与群と比較して、統計学的に有意な発症予防効果が示され、安全性面での新たな懸念も認められなかったとされている。
塩野義は3月31日に曝露後予防の適応で米国FDAへの段階的申請も開始した。
「ゾコーバ」の効能・効果/用法・用量
【効能・効果】SARS-CoV-2による感染症
【用法・用量】通常、12歳以上の小児及び成人には1日目に375mgを、2日目から5日目は125mgを1日1回経口投与する