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【識者の眼】「スウェーデンにやってきました(再び)」渡部麻衣子

No.5185 (2023年09月09日発行) P.65

渡部麻衣子 (自治医科大学医学部総合教育部門倫理学教室講師)

登録日: 2023-08-31

最終更新日: 2023-08-31

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8月、スウェーデンはストックホルムにやってきました。2月の滞在は数日の短期間でしたが、今回は3年間という長期滞在です。そのため家族での準備も大がかりとなり、そのストレスのためか、7月からは毎日決まった時間に強い痒みを伴う蕁麻疹が出るようになってしまいました。2人目が生まれた後も、夕方、上の子を保育園に迎えに行く時間になると決まって蕁麻疹が出ていたのを思い出し、これはなかなかの難場と自覚しました。

さて、話をストックホルムに戻しますと、既にここでは夏が終わりに差しかかっています。灼熱の東京から来た者にとっては、ほっと一息つける気もしますが、地元の方々にとっては待ちに待った夏があっという間に終わってしまう、少し悲しい季節のようです。今週から新学期が始まるのも、悲しみの漂う理由かもしれません。終わりかけの薔薇の咲く公園には、束の間の日差しを求める人々が行き交っています。犬連れが多いのが目につきます。動物愛護を重んじるこの国では、犬は1日に4回(6時間に1回)散歩させなければならないと法律で定められているそうです。日中仕事で家にいない人はどうするのかと言えば、散歩業者、言ってみれば犬の幼稚園のようなところに預けるとのこと。猫も2日以上家を空けるときには、必ず誰かに預けなければならないそうです。こちらに来たら犬か猫か飼いたいね、と家族と話していたのですが、ハードルはなかなか高いようです。

このように、動物は非常に大切にされているわけですが、一方人間はどうなのか。それはこれから徐々に知っていくことになるでしょう。ひとまず知らされていることは、病院には滅多なことではかかることができない、ということです。緊急性が高くない限り、進行性の疾患の可能性があっても、2、3カ月待たされることはざらだそうです。スウェーデンの医師はワークライフバランスが保たれていると聞きますが、それは、このような病院文化のおかげなのでしょうか。今のところ、蕁麻疹で皮膚科にかかるなど、望むべくもなさそうな雰囲気です。経験のために受診を試みてもよいかもしれません。もしも受診できたら、そのときはご報告させて頂きます。

渡部麻衣子(自治医科大学医学部総合教育部門倫理学教室講師)[ワークライフバランス][受診]

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