中央社会保険医療協議会は12月20日、医療機関と高齢者施設等の連携について議論した。厚生労働省はこの中で、介護保険施設の求めに応じて協力医療機関が往診や入院が必要な患者の受け入れを行った場合の評価を新設することなどを提案した。
厚労省の提案は、介護報酬側での見直しを踏まえた対応。介護保険施設の協力医療機関には、元々在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟を持つ病院などが想定されているが、実際には特定機能病院などの急性期病院を協力医療機関としている施設もあり、問題視されていた。このため次期介護報酬改定では、協力病院について一定の要件を定めた上で、介護保険施設に要件を満たす医療機関を協力医療機関に定めることを義務づけることが決まっている。
そこで今回厚労省は、(1)在支病、在支診、在宅療養後方支援病院、地域包括ケア病棟等について、介護保険施設の求めに応じて協力医療機関を担うことを努力義務化する、(2)介護保険施設が定期開催する入所者の現病歴の情報共有を行う会議への参加を条件に、協力医療機関が施設入所者の急変時に入所者や施設職員等の求めに応じて往診を行った場合や、入院の必要性が認められた場合の入院受け入れを新たに評価する(ただし、施設と協力医療機関が同一法人・関連法人など特別の関係にある場合を除く)、(3)急変時の対応に備えて協力医療機関の医師が施設入所者の現病歴等の情報をICT等の活用によって常に確認できる体制整備を推進する―を総会の検討課題に位置づけた。
これらの提案のうち、会議への参加やICT等の活用による現病歴の常時確認の必須化では賛成する支払側と反対する診療側で意見が割れているが、協力医療機関による往診対応や入院患者受け入れを評価する方向性については概ね一致をみている。
この日は有床診療所についても議論。厚労省は、①「有床診療所在宅患者支援病床初期加算」等において「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の内容に沿った意思決定支援を推進する方策、②有床診の訪問リハビリテーション、訪問栄養食事指導、医療型短期入所を推進するための方策―などを論点として提示した。