私は1980年代以降、厚生(労働)省や一部の研究者が発表した「医療の質を向上させつつ(維持しつつ)医療費を抑制する」との様々な提案・主張を検討してきた結果、そのほとんどは論理的または実証的に成り立たないとの結論を得ています。本稿では主な提案の検討結果をまとめて紹介します。
なお、最新の同種の主張は、かかりつけ医の制度化で医療の質を向上させつつ医療費も抑制できるというものでしたが、本誌2022年9月3日号(5132号)の「プライマリケア拡充が医療費を抑制するとの実証研究はあるか?」で、その主張は国際的な実証研究で否定されていることを示しました。