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ダイナミクスがJMDCグループに参加 スマートクリニックの構築目指す〈提供:株式会社ダイナミクス〉

No.5204 (2024年01月20日発行) P.14

登録日: 2024-01-17

最終更新日: 2024-01-17

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全国5000以上のクリニックで導入されているレセコン一体型電子カルテシステム「ダイナミクス」が新たなスタートを切った。開発企業の株式会社ダイナミクスが2023年から、ヘルスケア領域において多様なビジネスを手掛けるJMDCグループの一員となり、多数のヘルスケア企業を有する同グループでのシステム連携が可能になるなど、これまで以上にクリニックにとって機能的なサービスの提供を目指す。

ダイナミクスは、元エンジニアというキャリアを持つ内科医の吉原正彦氏が医師としてのニーズに基づき開発したソフト。わが国の電子カルテ元年といわれる1999年の発売以来、全国5000施設以上のクリニックに導入実績がある。ダイナミクスという製品名は「力学」が由来。吉原氏の「小さな力でも大きな動き、働きにつながれば」という思いが込められている。

医師目線で開発された診療・支援ツール

ダイナミクスは開業医のための診療・支援ツールとして①医師が開発した利用者目線のソフト、②リーズナブルな価格設定、③モバイル対応、④データ活用システム─という4つの特徴がある。レセコン一体型電子カルテシステムのため、受付から診察、会計、レセプト請求まで一連の診療業務をワンストップで完結することができる。

医師である吉原氏の診療経験に基づき、カルテ作成と会計画面が一体化した設計になっており、ユーザーは診察しながら患者の負担金を把握することが可能。会計時には自動的に医療費が算定されるなど業務効率化が図れ、クリニックの生産性が向上、受付や待合室での待ち時間の短縮にもつながり、患者の満足度も高まる効果が期待できる。

電子カルテ画面は、必要な情報を凝縮した独特のインターフェース。マウスのクリックのみでDoやセット処方など定型入力ができる。検査結果のグラフ表記や画像の取り込みが可能でシェーマ機能もあり、標準仕様でもカルテ作成に必要な幅広い機能を搭載している。診療の場面においては、薬歴や検査結果など入力した情報を時系列でグラフ化でき、処方内容の検討や患者・家族への説明、医療連携などに有用な情報となるメリットがある。

システムが加工しやすいマイクロソフトOffice Access(アクセス)をベースに構築されていることも、他のシステムとの連携など自院に適したカスタマイズがしやすい、と人気を集める理由の1つになっている。

クリニックでも導入しやすい価格設定

月額の保守料1万1000円、初期費用を含めても5年間で約80万円というコストの低さも大きな魅力だ。PC台数やユーザー数、データ量に応じた課金や数年ごとの更新料は不要。レセプト分析やデータ解析ソフトなど多数のオプションが無料で利用できる点も強み。クリニックにとって固定費の抑制は重要な経営課題であり、レセコンや電子カルテは医療機器と異なりそれ自体が診療報酬を算定できるものではないことから、クリニックにも導入・運用しやすい価格が設定されている。

モバイル対応も進んでいる。患者カルテデータを暗号化し、抽出する医師向け携帯カルテ「merody」、患者の薬歴や薬局、診療所情報を確認できる電子お薬手帳「candy」を無償オプションとして利用することができる。

ユーザーによって進化を続けるソフト

他の電子カルテと最も異なるサービスは、全国のユーザーによって構成される「ダイナミクス研究会」の存在。研究会では、定例会を全国で開催、ユーザー医師による医学講義やダイナミクスの新機能、活用事例の紹介などユーザー同士のコミュニケーションが活発に行われている。ユーザーによって運営されているメーリングリストでは、ダイナミクスの活用法や経営にまつわる課題を相談することもできる。

ユーザー専用サイトでは、ユーザーが自身の診療科目や地域特性に合わせて開発した独自プログラムが共有されるなど「ユーザーによって進化を続けるソフト」という特徴がある。

JMDCグループ入りでさらなる進化へ

電子カルテ黎明期から多くの医師やクリニックに愛用されてきたダイナミクスは、2023年に新たなスタートを切った。創業者の吉原氏が会社の経営権をヘルスケアのビッグデータ事業を手掛けるJMDCに譲渡、多くのヘルスケア企業を有するJMDCグループの一員となった。吉原氏は顧問という形で引き続きダイナミクスの開発に携わっていく。

「ダイナミクスはユーザーの先生方によって育てていただいたソフトです。ヘルスケア分野で長年真摯に事業展開をされているJMDCさんに経営をお任せすることで、これまで以上にクリニックのニーズに応じた進化を遂げていくことができると考えています」(吉原氏)

JMDCグループは、「健康で豊かな人生をすべての人に」という理念を掲げ、データとICTの力で、持続可能なヘルスケアシステムを実現することを目指している。事業としては、健保組合等の保険者に対して保健事業支援やPHR(Personal Health Record)サービスを展開。医療機関や調剤薬局に対しては、経営指標・院内データの収集・分析や経営コンサルティング・ファイナンス、服薬指導システム、遠隔読影、業務システムなどさまざまなサービスを提供している。また、これらのサービスから集積したデータをデータベース化し、アカデミアや産業界に対して提供することで、医療の発展・効率化を支援している。

新社長には、グループ会社で要職を歴任した森井俊秀氏が就任。森井氏はダイナミクスの今後の展開についてこう語る。

「創業者の思いでありダイナミクスの特徴である現場のニーズに基づく機能をさらに充実させていきたいと考えています。当社はクリニック向けのサービスを展開するグループ企業を複数有しており、今回院内システムの核となるレセコン・電子カルテのダイナミクスが加わったことで、入口(集患・予約・問診)から出口(薬局との連携・PRO)までをカバーできるスマートクリニックの実現が可能になりました。各種サービスを通して集積したデータやユーザーをつなぎ、掛け合わせていくことで、医療に新しい価値を生み出していくことを目指しています」


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