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【識者の眼】「『終末期ドゥーラ』の登場」渡部麻衣子

No.5213 (2024年03月23日発行) P.59

渡部麻衣子 (自治医科大学医学部総合教育部門倫理学教室講師)

登録日: 2024-03-04

最終更新日: 2024-03-04

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2018年頃から医療系学術誌でも報告が見られるようになった「終末期ドゥーラ」の実践が、スウェーデンに上陸していることを最近知りました。

ドゥーラとはもともと、周産期の女性を、妊娠期から出産後まで支援する役割の女性を指す言葉です。そうした役割の女性は歴史的には様々な地域に存在してきたと言われていますが、1980年代後半以降、欧米を中心にあらためてその役割が見直され、民間団体によるドゥーラの育成が行われるようになりました。日本でも、一般社団法人ドゥーラ協会が、周産期ドゥーラの育成と派遣事業を行っています。

一方「終末期ドゥーラ」は、死期を間近に控えた人に寄り添い、最期に向かう過程、その瞬間、そしてその後に必要となる様々な事柄を支援する仕事です1)。周産期のドゥーラ同様、今のところどの国でも国家資格を持つ専門職ではありませんが、育成プログラムを提供し、修了者を認証する民間団体が各地に存在します。終末期ドゥーラの育成プログラムが最初に始まったのは英国で、2007年のことでした。それが最近になって注目されるようになったきっかけは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大だったようです。米国では、終末期ドゥーラの育成を行うThe National End-of Life Doula Allianceの会員数が、2019年には200人だったのが2021年には1000人以上に増加し、注目の高まりをうかがわせています2)。スウェーデンでは、DödsDoulanが、英国の認証プログラムの1つに基づいてドゥーラの育成を行っています。団体のウェブサイトによると、団体の認証を受けて活動しているドゥーラは現在23名で、うち1名はフィンランド、もう1名はドイツで活動しているとのことです。

医療が大体において無料で提供されているスウェーデンで、民間サービスの終末期ドゥーラの利用がどれくらい広がるかは未知数です。しかし、家族のあり方が多様化し、後期高齢者の6割以上が単身世帯である個人主義の国スウェーデンでは、家族に代わって最期のプロセスに帯同するドゥーラ的な役割の意義は高いと思われます。そしてそのことは、孤独死の増加する日本にも当てはまるのではないかと考えています。

【文献】

1)Krawczyk M, et al:Palliat C Soc Pract. 2020;14:1-15.

2)TIME公式サイト:Death Doulas Used to Be Rare.The COVID-19 Pandemic Changed That.(2023年11月3日)

渡部麻衣子(自治医科大学医学部総合教育部門倫理学教室講師)[COVID-19][孤独死]

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