編: | 有賀悦子(帝京大学医学部緩和医療学講座(緩和ケア内科)教授・診療科長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 256頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2017年06月30日 |
ISBN: | 978-4-7849-4625-9 |
版数: | 1 |
付録: | - |
本書では架空の2症例を作成し、診断時、治療期、治療終了(治癒の場合も、死亡の場合も)と続く「縦断的(経時的)」な流れを時間で区切り、その時々で発生する複数の問題を「横断的」に解説いたしました。「立体的」な展開で人や時間が動く緩和ケアの対処方法をリアルにつかむことができます。さらに、それぞれの項目は臨床でよく遭遇する課題をテーマとしているため、より実臨床に応用したり検討したりしやすい内容となっております。
緩和ケアに携わり始めたばかりの先生から、専門的に取り組まれている先生まで、多くの先生方が参考になる点が必ずある書籍となっております!
診療科: | 医学一般 | 緩和・ターミナルケア |
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症例1 88 歳男性,肺がん,骨転移の症例
Ⅰ.診断から初期治療における症状緩和
1.包括的評価 肺がんを抱えたA さんを理解する
2.ケア目標を設定する
3.症状を緩和する①痛み
症状を緩和する②消化器症状
症状を緩和する③呼吸器症状
症状を緩和する④心情に配慮する
コラム:こんなときのチームアプローチ
Ⅱ.あいまいな病状理解。次のステップに進むためには,どう伝える? どう支える?
1.病名,症状,治療方針を伝える
2.心理・精神的な問題に対処する
3.アドバンス・ケア・プランニング
コラム:こんなときのチームアプローチ
Ⅲ.退院に向けて
1.がんリハビリテーション
2.在宅支援
Ⅳ.在宅医療でできること
1.在宅医療のシステムについて
Ⅴ.End of life ケアへ
1.症状を緩和する①呼吸器症状
症状を緩和する②衰弱PS4 の患者さんのケア
症状を緩和する③厳しい今後の見通しを家族に伝え,家族を支える
コラム:こんなときのチームアプローチ
症例2 50 歳男性,大腸がんの症例
Ⅰ.がん治療過程のサポート
1.社会資源の活用(人工肛門造設後の公的援助)
2.がん就労支援
Ⅱ.複数の痛みと心の沈みに対処する
1.症状を緩和する①腹痛
症状を緩和する②下肢痛
症状を緩和する③適応障害とうつ
症状を緩和する④心理支援
コラム:こんなときのチームアプローチ
Ⅲ.がんを持ちながら仕事を続けるとき
1.がんを持ちながら仕事場とつながっていくことについて
Ⅳ.病状が急速に悪化をしはじめたとき
1.症状を緩和する①嘔吐(腸閉塞)
症状を緩和する②オピオイドの投与経路変更方法
症状を緩和する③肝性脳症
症状を緩和する④せん妄
症状を緩和する⑤腹水と浮腫
症状を緩和する⑥家族の悲しみ
Ⅴ.症状が日単位から時間単位となったとき
1.死の過程を家族にわかりやすい言葉で説明する 2.家族に配慮しながら看取る
コラム:こんなときのチームアプローチ
緩和ケアのスキルや対処方法について書籍で伝えようとするとき,いつも難しさを覚えます。
患者さんは診断時から治療期,治療終了,その延長線上に治癒もあれば死亡もあるわけです。その経時的な流れ…つまり縦断的な流れの中で,その時々のポイントでは複数の問題が発生していたり,複数の職種が関わっていたりと横断的な要素を含んでいます。
つまり縦軸と横軸,さらに縦軸には膨らみがあるため,あたかも3 次元構造のような立体的な展開で人や時間が動いていくのです。
この複雑な縦断性と横断性を,多くの専門家の皆様のご支援により,形にすることができました。本書は「症例1」「症例2」という架空の2 症例を縦断的に置き,ある時点に焦点を当て,横断的なテーマで執筆して頂きました。執筆ポイントが大変具体的なため,「ああ…この医療者の方はこのように取り組まれているのか…なるほど,こういう考え方もあるなあ…」と読んでいてとても興味深く,執筆者の人となりも出ており,通り一遍の教科書とは違う厚みも感じています。
また,臨床でよく遭遇する課題をテーマとしているため,実臨床に応用したり,検討したりしやすいことも特徴で,まだ緩和ケアに携わり始めて時間が経っていない方から,専門的に取り組まれている方まで,多くの読者の方に参考にして頂ける本だと思っています。
最後の取りまとめの時期に大変ご苦労をおかけしましたが,日本医事新報社の村上由佳さんのお蔭で,素敵な書籍として完成させることができました。本当に,ありがとうございました。
この本に関わってくださったすべての方に御礼申し上げると共に,患者さんの苦痛が少しでも緩和され,心地よい時間を過ごしていただくことの一助となりますよう,心から願っています。
2017 年初夏
有賀悦子
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。
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執筆者一覧 |
橋口さおり 慶応義塾大学病院緩和ケアセンター 専任講師・センター長 |
橋口さおり 慶応義塾大学病院緩和ケアセンター 准教授・センター長 |
頁 | 誤 | 正 |
症例2 Ⅱ1.③適応障害とうつ 171頁 表1 |
表タイトル:「うつ病エピソード」 |
表タイトル:「うつ病の診断基準」 引用元:「日本精神神経学会 日本語版用語, 監修, 高橋三郎, 他, 監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院, 2014. p160-1.より抜粋」 |