株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS ポスト2025の地域医療構想に関する議論がスタート―厚労省検討会が初会合

No.5216 (2024年04月13日発行) P.71

登録日: 2024-04-05

最終更新日: 2024-04-05

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」が329日、初会合を開いた。85歳以上人口の増加や生産年齢人口の激減に伴い、医療従事者の不足が深刻化することが見込まれる2040年頃を見据え、年末までに新たな地域医療構想の最終とりまとめを目指す。

新たな地域医療構想は医療と介護の複合的ニーズを抱える85歳以上人口の増加に対応できるよう、対象範囲を現行の医療機能別の病床の整備から、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携等を含む、地域の医療提供体制全体にまで拡大する。そのため検討会では、現行の地域医療構想の枠組みを生かした上で、構想区域の設定や地域医療構想調整会議の進め方をどうするか、都道府県の権限や介護保険事業等を担う市町村の役割のあり方、医療機関からの機能報告をどうするか―などを議論する。

厚労省は、その際に考慮すべき課題として、①在宅を中心に入退院を繰り返し最後は看取りを要する高齢者を支える医療を提供する必要があり、その実現には、かかりつけ医機能の確保、在宅医療の強化、介護との連携強化が重要、②都市部や過疎地といった地域類型の違いで、40年までの人口変動の状況が異なる、③生産年齢人口の減少等がある中、医師の働き方改革を進めながら地域で必要な医療提供体制を確保しなければならない―などを挙げた。

初会合では複数の構成員が、新しい地域医療構想では現行の構想(25年を目標)以上に医療従事者の確保が重要な課題になる―との認識を示した。猪口雄二構成員(全日本病院協会会長)は、「少ない医療従事者で増加する高齢者を支えられるよう、ICTの活用をはじめとする医療機関、介護施設の運営の効率化について議論する必要がある」と指摘。土居丈朗構成員(慶應義塾大学経済学部教授)も、「患者の需要だけでなく、医療従事者の確保や地域間、診療科間の偏在が解消できるように地域医療構想で取り組んでいく必要がある」と述べた。

尾形裕也構成員(九州大学名誉教授)は、検討期間が約9カ月と短い点を憂慮。「新たな構想のスタート後に問題や課題を柔軟に検討できる場を設けていただきたい」と要望した。

検討会は現場の声を議論に反映させるため、次回から4回程度、医療・介護関係団体や有識者からのヒアリングを実施する予定。

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top