厚生労働省は4月9日、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」の利用を促進するため医療機関向けに新たに実施する支援内容を明らかにした。政府は従来型の紙の保険証の新規発行を12月2日で終了する方針を決めているが、直近3カ月のマイナ保険証の利用率は増加傾向にあるものの5.47%にとどまる。こうした状況を受け、医療現場における利用率アップに向けた対策を抜本的に見直し、5~7月を「集中取組月間」と位置づけ、利用人数の増加に応じて最大で診療所と薬局には10万円、病院には20万円の支援金を1回限り支給する。
現行のマイナ保険証利用促進に向けた支援策は、2024年1月~11月を取り組み期間とし、2023年10月に比べマイナ保険証の利用率が上昇した医療機関と薬局に実施することになっていた。取り組み期間は前半(1月~5月)と後半(6月~11月)に区分。前半は平均利用率が5ポイント以上10ポイント未満上昇した場合に1件当たり20円、10ポイント以上20ポイント未満上昇は1件当たり40円を支給、後半は10ポイント以上上昇した医療機関と薬局が対象で、支援単価は前半と同額に設定されていた。今回の見直しは、後半が対象。
一時金の支給額は下表の通りとなる。2023年10月の利用率と同月に比べ2024年5月~7月の集中取組月間における利用者の増加量に応じて算出される。例えば2023年10月の利用率が3%未満の場合、30人以上増加すると3万円、80人以上増加すると上限の10万円が支給される。厚労省保険局の担当官は、利用人数の増加に応じた定額給付とすることにより、医療現場にとって不公平感のない分かりやすい形にすることが狙いとしている。
武見敬三厚労相は同日の閣議後記者会見でマイナ保険証について「より一層の利用促進が課題となっている」と強調した上で、「本年5月から7月までを『マイナ保険証利用促進集中取組月間』として、医療DXのパスポートとなるマイナ保険証の利用促進に全力をあげて取り組む」との意気込みを示した。