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■NEWS 新地域医療構想では有床診や老健の医療ショートなどの活用を―有識者ヒアリング

No.5225 (2024年06月15日発行) P.70

登録日: 2024-06-05

最終更新日: 2024-06-05

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厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」は527日と31日の両日、ポスト2025の新たな地域医療構想について関係者からのヒアリングを行った。新構想は、病床の再編等にとどまらず、かかりつけ医機能や在宅、看取り、介護との連携までを含めた地域全体の医療提供体制が検討対象となる。このため出席者からは有床診療所や老人保健施設の短期入所療養介護の活用などを求める意見が示された。

ヒアリングでは構成員や医療・介護関係の参考人など12人が意見表明した。この中で猿木和久参考人(全国有床診療所協議会副理事長)は、有床診が急性期から看取りまで広範な医療に対応している現状を説明。小規模で柔軟な運用ができ、人的配置の制約も少ない有床診は、「地方のコンパクトシティ構想において重要な医療資源となりうる」とその有用性を強調した。新構想に向けた要望では、現行の高度急性期から慢性期までの4つの病床機能はいずれも有床診には馴染まないとして、正確な実態把握のためにも「診療所病床」という新たなカテゴリーを設けるべきだと提案した。

新田國夫参考人(日本在宅ケアアライアンス理事長)は、新たな地域医療構想が完結するためには、病院完結型医療からかかりつけ医機能を担う医療機関を軸にした地域完結型医療への転換が必要だと指摘。その実現にあたっては、①複数の医師がいる診療所の整備やグループ診療の推進を通じた24時間対応の在宅医療提供体制、夜間・休日の診療体制の確保、②かかりつけ医機能を担う診療所等と中小病院、看護小規模多機能型居宅介護との連携―などが不可欠だと主張した。

老健の有効活用を求める意見もあった。東憲太郎構成員(全国老人保健施設協会会長)は、少ない人手で増加し続ける医療・介護の複合ニーズに対応していくためには、制度の枠を超えた役割分担が必須になる―と強調。本人や家族の事前の意思確認を前提とした上で、在宅要介護高齢者の急変時であっても医療ニーズが軽度の場合は、老健の短期入所療養介護での受け入れを推進すれば、本人が望まない過度な医療提供を回避したり、高齢者の救急搬送の問題解決にもつながったりするのではないかと述べた。

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