武見敬三厚生労働相は5月28日の閣議後会見で、現在は「65歳以上」となっている年金の支給開始年齢、介護保険の第1号被保険者範囲について、「見直すことは考えていない」との見解を示した。
これは5月23日の経済財政諮問会議で民間議員から、現在は65歳以上とされている高齢者の定義について見直しが提案され、年金の支給開始年齢引き上げにつながるのではないかと社会的な議論を呼んでいることを受けたもの。
28日の会見で武見厚労相は記者からの質問に答え、「現在の年金制度は65歳の支給開始年齢を堅持した上で、年金財政の長期的なバランスがとれる仕組みとなっている。このため高齢者の定義にかかわらず、年金の支給開始年齢の引上げを行うことは考えていない」と明言。介護保険制度についても、「被保険者範囲等については、2022年12月の社会保障審議会介護保険部会の意見書で、将来的には被保険者範囲を引き下げて介護の普遍化を図るべき、高齢者の就業率の上昇や健康寿命の延伸、要介護認定率の状況等も踏まえながら第1号被保険者の対象年齢を引き上げる議論も必要など、様々な意見を踏まえ引き続き検討を行うことが適当とされているところ。直ちにその範囲を見直すことは考えていない」と述べ、見直し論を否定した。