厚生労働省は「医師の働き方改革に関するQ&A」を7月23日付で都道府県に事務連絡し、医療機関への周知を求めた。2024年4月から始まった医師の休日・時間外労働の上限規制で、関係者から寄せられた労働時間管理や面接指導、勤務間インターバル・代償休息などに関する疑義に回答した。
複数の医療機関に勤務する医師の対応では、主たる勤務先の医療機関が医師本人の自己申告などによって副業・兼業先の労働時間を把握し、自院での労働時間と通算して労働時間を管理する必要があることを改めて説明。実施にあたっての基盤整備として、副業・兼業先の勤務予定や労働時間を把握するための仕組みづくりを促した。
副業・兼業先との間の往復の移動時間について、通勤時間であり通常は使用者の指揮命令下にはないことから労働時間には該当しないとし、勤務間インターバルに含めて差し支えないことも併せて示した。
オンコール待機時間の取り扱いにも触れた。待機時間が労働時間に該当するか否かは、オンコール待機中に求められる義務態様が医療機関や診療科によって異なることから、①呼び出しの頻度がどれくらいか、②呼び出された場合にどの程度迅速に病院に到着することが義務付けられているか、③オンコール待機中の活動がどの程度制限されているか―などを踏まえて、待機時間全体で、労働から離れることが保障されているかによって個別具体的に判断するよう要請。その上で、待機時間が労働時間に該当しないと判断される場合には、その時間を勤務間インターバルや代償休息を確保する時間に充てることができるとしている。
宿日直許可のない宿日直に加え、宿日直許可のある宿日直に従事させる場合の勤務間インターバルの考え方も整理した。
勤務間インターバルの基本ルールは、(1)始業から24時間以内に9時間の連続した休息時間を確保、(2)始業から46時間以内に18時間の連続した休息時間を確保―の2種類。宿日直許可のある宿日直に従事させる場合は基本ルール(1)が適用され、宿日直許可のある宿日直(9時間以上であることが必要)は「連続した休息時間」とみなされる。
一方、基本ルール(2)が適用されるのは、宿日直許可のない宿日直に従事させる場合であって、基本ルール(1)を確保しないとした場合のみ。宿日直許可のない宿日直とは別に、18時間の連続した休息時間を確保する必要がある。
今回のQ&Aでは、宿日直許可のない宿日直に加え、勤務時間の一部に9時間未満の宿日直許可のある宿日直に従事させる場合の取り扱いについて解説。基本ルール(1)を確保しない場合は、基本ルール(2)を適用することが可能だと説明している。