2025年に向けて地域の必要病床数を医療機能別に決める「地域医療構想」の策定に各都道府県が動き出した中、東京都が難しい舵取りを迫られている。
地域医療構想の対象範囲となる「構想区域」は、二次医療圏を基本としつつ、人口規模や患者の受療動向などを加味して策定するとされている。
都の「地域医療構想策定部会」は、猪口正孝氏(都医副会長)が部会長を務め、医師会、歯科医師会、薬剤師会の役員や各地域の基幹病院の病院長らが委員に名を連ねる。秋頃をメドに構想区域の大枠を決める予定だ。
5月29日の会合では、国際医療福祉大の高橋泰教授が講演し、京浜圏は10万人当たりの病院勤務医数が日本一多いが、その周辺は医師数が日本一少ない上に、75歳以上人口が激増することから、「東京周辺の病院はさらに混雑し、大変な時代を迎える」と指摘。都内でも医療資源の充足状況は23区内外で大きく異なり、急性期病床の場合、「23区内は新宿区や文京区の大学病院がカバーするので医療資源は不足しないが、23区周辺の不足は深刻化する」とした。
さらに構想区域の設定を難しくしているのが県境を超えた患者の移動だ。特に23区は周辺3県からの流入が激しい。このため部会では、構想区域の調整をしやすくするため、1都3県による「広域連合」の検討を求める声も上がった。