診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は6月13日、包括的な機能を担う入院医療のあり方を巡り議論した。2024年度診療報酬改定で新設された地域包括医療病棟については、地域包括ケア病棟と患者像が類似していることや、「急性期一般入院料2〜6」算定病棟と入院から退院までのADLの変化に差がないとするデータが示された。
厚生労働省のデータによると、「地域包括医療病棟入院料」を届け出る前の入院料は、「急性期一般入院料1」が4割程度で最多。地域包括医療病棟を持つ医療機関の約3分の2が「急性期一般入院料1〜6」のいずれかを併設している。
また入院患者の分析では、▽地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の入院患者数の多い疾患や患者像は一定程度類似している、▽地域包括医療病棟と「急性期一般入院料2〜6」算定病棟のケアミックス医療機関において、要介護度が高い患者は地域包括医療病棟のほうが多い傾向にあったが、入院〜退院までのADL変化は両病棟間に大きな違いはない、▽地域包括医療病棟で診療している疾病の内訳は医療機関ごとにばらつきがある―ことなどが明らかになった。
会合では中野惠委員(健康保険組合連合会参与)が、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の患者像が類似している点について、「医療の内容も含めたより詳細な分析が必要だ」と強い問題意識を示した。
牧野憲一委員(旭川赤十字病院特別顧問・名誉院長)は地域包括医療病棟と「急性期一般入院料2〜6」のADL変化に差がないとの分析結果を疑問視。ADLが改善した患者と改善しなかった患者の割合がそれぞれどの程度なのかなど、個々の患者レベルでの分析が必要だと指摘した。
地域包括医療病棟は高齢救急患者の受け皿としての役割が期待されるが、津留英智委員(全日本病院協会常任理事)は、例えば地域包括医療病棟と急性期病棟のケアミックス病院においては、搬送時点では予後の判断が難しい高齢者の特性に加え、自院の一般病棟からの転棟を5%未満とする施設基準が地域包括医療病棟への受け入れを困難にしていると説明。「(搬送から)48時間以内なら遡ってどちらの病棟を選択しても良いという通知を出してもらえれば現場は大変助かる」と柔軟な運用を求めた。