米国立心肺血液研究所は9日、50歳以上の心血管疾患のリスクを有する高血圧患者9361人を対象にしたSPRINT試験で、収縮期血圧120mmHg未満を目指した厳格群では、140mmHg未満を目指した通常群に比べて複合心血管疾患発症率が25%、全死亡率は27%有意に減少したとの結果を『New England Journal of Medicine』誌で発表した。
これを受け、日本高血圧学会は13日に見解を発表。「SPRINTの結果を重視する」とした上で、「『高血圧治療ガイドライン2014』の降圧目標の範囲の中で、より低い血圧値を目指すことを推奨するが、現段階で個別の降圧目標値の変更を提示するものではない」とし、「日本人を対象とした同様の研究の必要性について早急に検討を進めたい」との方針を示した。
■臨床研究適正評価教育機構の桑島巖理事長の話
高齢者や冠動脈疾患など高リスク症例ほど厳格な降圧が生命予後を改善することを示したのは意義がある。ただ、この結果をそのまま臨床適応するのは慎重にすべき。
まず、医師のいない場所で自動血圧計による3回測定の平均値、つまり白衣高血圧を徹底的に除外し、一般臨床と測定環境が異なる。さらに、血圧が安定するまで1カ月ごとに受診するという究極の適正治療の場での結果である。この2点を念頭におくべきだ。
(注:12月5日号J-CLEAR通信で桑島氏がSPRINT試験を解説予定)