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災害医学の概念と体系的アプローチ

No.4746 (2015年04月11日発行) P.50

中村京太 (横浜市立大学救急医学准教授)

登録日: 2015-04-11

最終更新日: 2016-10-26

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医療における災害とは,発災場所,生存被災者の数や重症度,傷害の種類などの観点から,特別な人的・物的資源を要する事故災害と定義される。
国内の大きなターニングポイントは,1995年1月の阪神・淡路大震災ならびに,同年3月の地下鉄サリン事件であった。そこで同年,日本集団災害医療研究会(現,日本集団災害医学会)が発足し,体制整備が加速した。2004年には英国の災害医療プログラムであるMIMMS(Major Incident Medical Management and Support)が日本国内に導入され,そのコンテンツを核とし,2005年,DM
AT(Disaster Medical Assistance Team)が発足した。MIMMSで強調する災害医療の体系的アプローチは「CSCATTT」に集約される(文献1)。CSCATTTとは以下の通りである。
・Command and Control:指揮と統制
・Safety:安全
・Communication:情報伝達
・Assessment:評価
・Triage:トリアージ
・Treatment:治療
・Transport:搬送
すなわち,トリアージ,治療,搬送といった「医療支援(3Ts)」の実施前に,指揮や安全,情報伝達,評価といった「マネジメント(CSCA)」を整備する重要性を述べたもので,蘇生における「ABC」と同様,災害医療対応の根幹となっている。

【文献】


1) MIMMS日本委員会, 訳:MIMMS大事故災害への医療対応. 第3版. 永井書店, 2013.

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