2013年にDSM-5への改訂が行われ,学習障害は,限局性学習症と称されるようになった(文献1)。
DSM-5での限局性学習症は,特異的学習困難(読字,書字,計算障害)を認め,学力や日常生活活動に障害を引き起こしている状態であり,その障害はほかの精神疾患や養育環境などの影響を受けていないものである,と定義されている。また,さらに,課題の負担が少ない低学年では表面化しないことが多いことも記載されており,標準化された検査により障害の程度を評価していくことが重要である。
国内においては,2007年度より特別支援教育が始まり,発達障害に関わるシステムは大きく変化し,学習障害だけでなく学習の何らかにつまずきがある子どもを支援する体制は少しずつ充実したものとなってきている。さらに支援内容を充実させるためには,学習障害の原因や程度を適切に評価することが求められる。これまでに,2010年に稲垣らにより『特異的発達障害診断・治療のための実践ガイドライン』が作成され,種々の標準化された読み検査が開発されている。
大阪医科大学LDセンターは,読み書き障害や計算障害に対する研究と実践をもとに,2014年に「『見る力』を育てるビジョン・アセスメント:WAVES」と,幅広い読み能力を測定しつつ支援に直結するドメイン別の能力をとらえることを目的とした,「読み能力包括的領域別検査:CARD」を開発した。学習に困難さを認める子どもたちの原因検索,支援の一助となることを期待している。
1) 日本精神神経学会, 監:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル. 高橋三郎, 他, 監訳. 医学書院, 2014.