▶前田潔氏(神戸学院大総合リハビリテーション学部教授)は2日、今年10月に実施した認知症初期集中支援チームの認知症サポート医に関する調査結果を発表し、診療所の医師ほど熱心に活動している傾向があることを報告した。1〜3日に都内で開催された第35回日本認知症学会学術集会のシンポジウムで発表した。
▶調査は2015年度にチームを設置予定とした自治体を対象とし、全国173チームから回答を得た。回答者のほとんどは非医師のチーム員。調査結果によると、主なサポート医の所属が診療所であるチームのほうが「サポート医が機能している」という回答が93%と、病院の81%に比べて高かった。医師の専門科目や自治体の規模では有意差はなかったという。サポート医が「機能していない」と答えた22チームのうち、82%が「サポート医の同行訪問が困難」と回答するなど、チーム員は同行訪問を重視している。ここからは診療所の医師が積極的に同行訪問を行っていることが窺える。
▶前田氏はこのほか、医師確保に困難を感じていない自治体が大半だったが、医師確保が深刻という考えへの賛同も84%に上ったことを紹介し、「現在は医師が確保できていても、今後は難しくなると予想している」と指摘。チームの医師に診療報酬がつかない点については「今後アウトリーチを進めるためには学会などが(国に評価を)働きかけることが1つのポイント」と述べた。
▶国は2015年度からチームの医師の要件を緩和するなどの対策を実施している。医師確保が難しくなると見込まれる中、認知症初期集中支援チームを推進するにはそれに加えて、チームに参加する医師を診療報酬上で評価することが必要だ。