がん研究会は1月31日、記者会見を開き、がんゲノム解析技術と人工知能(AI)を用いたプレシジョン医療(個別化医療)の実現に向け、AIを活用した医療データ解析事業を手掛けるFRONTEOヘルスケア社と共同研究を開始すると発表した。
がん研は「がんプレシジョン医療研究センター」を昨年10月に設立し、特任顧問には米国シカゴ大の中村祐輔教授(写真左から2人目)が就任している。
共同研究では、専門家が選んだ信頼性の高い論文などをAIに学習させた上で、がん研のゲノム解析技術で得られたデータと臨床の情報などを分析し、患者の症状や特性に合わせた治療法を提示する「診断支援システム」を開発する。患者の理解度に合わせて治療方針などの説明を補足する「インフォームドコンセント支援システム」も開発する方針だ。肺がんと乳がんの2分野を対象に、2021年までの実用化を目指す。
会見でがん研の野田哲生研究本部長(写真左端)は、治療法が確立していないがんで有効な判断を下せる割合をAIによって高めたいとの考えを示した。中村氏は「5年後に(システムが)実用化されていなければ日本のプレシジョン医療は駄目になる、そのくらいの責任を背負ってやっていきたい」と意気込みを語った。