慢性骨髄性白血病(CML)治療薬の医師主導臨床研究「SIGN」について、事務局である東大病院(門脇孝院長)は14日、研究の企画・実施において、さまざまな形でノバルティスファーマの社員による役務提供が行われていたとする調査の中間報告書を発表した。
中間報告書によると、同社のCML治療薬ニロチニブの副作用軽減効果やQOL改善度に関するアンケート調査は255例で実施。東大病院担当のMRが、データ運搬に始まり研究の事務局機能も一部代行することで、全参加施設の症例登録票等の写しを取得、研究データと進捗状況が同社に把握されていた。
データには施設名、主治医名、被験者のイニシャル、生年月(日)、性別、患者ID等が含まれており、「守秘義務違反や個人情報保護法違反、学内内規の違反に該当する重大な過失」と指摘している。
また、日本血液学会学術集会での研究の中間発表で、ノバ社が作成したスライドを少なくとも1枚使用したことも明らかにした。ただし、同院が保管している症例登録票と参加施設から改めて取り寄せた登録票を突合させた結果、研究データや学会発表の内容自体に改竄や恣意的操作は認められなかったとしている。