□たこつぼ型心筋症は,ストレスを受けた閉経後の女性に好発し,冠動脈支配領域を越えた"たこつぼ様"左室壁運動異常を呈することで知られるようになった。
□2004年の新潟中越地震の折,多くの患者が短期間のうちに発症したことで認知されるようになった。
□たこつぼ心筋症は,急性冠症候群を疑った患者の数%を占め,常に鑑別を要する。
□発症機序は,カテコラミンの過多や心筋微小循環障害が病態に関与していると考えられている。
□予後は決して良好ではないことがわかってきており,特に基礎疾患に続発する二次性たこつぼ心筋症の予後が悪い。ガイドラインに則した治療法は確立されていない。
□本疾患の概念は心筋症から症候群へ変わりつつある1)。
□院内死亡率約5%である。
□再発率は約4~7%である2)。
□基礎疾患に伴う例を二次性と言い,そのほかを一次性と表現する。
□胸痛や胸部圧迫感,呼吸困難などを呈し,急性冠症候群と類似しているが,症状の程度は軽いことが多い。
□先行する身体的・精神的ストレスを認めることが多い。
□様々な合併症を呈することが知られており,時に心破裂や中隔穿孔,心室頻拍や心不全を呈することがある。
□採血検査上,心筋逸脱酵素の上を認めるが,上昇は軽度にとどまることが多い。トロポニンⅠやBNPの上昇も認める。
□血中カテコラミンは上昇例もあれば上昇していない例も存在する。
□1~2割は左室壁運動異常が典型的なたこつぼ様ではない。
□約2割で右心室を含めた壁運動異常を呈する。
□心電図では広範なST上昇を認めるが,典型例ではaVrのST低下とV1のST上昇を認めない症例が大多数である。非典型的例では心電図変化のコンセンサスが得られていない。
□心臓MRIでは,T2強調画像で浮腫を認めることがあり,約1割で造影遅延の所見を認める3)。
□病理学的には,心筋の炎症と線維化,空胞変性や収縮帯壊死などを呈する。
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