QRS波の“正味”の極性:Ⅰで陰性かつaVfで陰性
『Dr.ヒロの学び直し! 心電図塾』では“頻出”の話題―QRS電気軸*1がまたまた登場です。順番には個人差があるかもしれませんが,心電図の判読では必ず確認すべき所見の1つです。各論としては,「正常軸」(No.5204,第43回参照),「右軸偏位」(No.5264,第71回参照)は既に扱ってます。
今回のテーマは,「極端な軸偏位」です。英語表記は,extreme axis deviation,略称だとEADとなります。しかし,実はこの用語,循環器学用語集(日本循環器学会,https://www.j-circ.or.jp/yougoshu/)には掲載されていません。そのため,和訳に困りますが,“和製ミネソタ・コード”としてよく引用される文献1)に準拠しました。電気軸の異常の中では最もマイナーですが,重要事項も多いです。では,スタート!
QRS電気軸のコンセプトを覚えていますか? 毎回同じような表現になってしまい恐縮ですが,心室内の“電線”(刺激伝導系)を,電気シグナルが進んでいく様を矢印1本で表そうという,大胆な発想です。中でも,前額断面*2で2次元に投影して論じるのが一般的です。循環器医には,“vertical axis”の愛称で親しまれていると思います。