□治療の第一選択は,マクロライド系抗菌薬である(表)3)。
□マクロライド耐性菌による感染が疑われる場合の代替薬として8歳未満の小児にはトスフロキサシンしか選択肢がないが,8歳以上の小児および成人にはキノロン系抗菌薬よりも耐性菌の除菌率が高く,解熱までに有する時間も短いことが証明されているテトラサイクリン系抗菌薬が勧められる。
□マイコプラズマ肺炎重症化の病態としては過剰な免疫応答が起きているという宿主側の要因が重要と考えられ,ステロイドが有効であるが,安易な投与は慎むべきである。
□耐性を作りやすいキノロン系抗菌薬の使用は極力避けることが望ましい。
□8歳未満の小児および妊婦に対するミノサイクリンの投与は,使うことの利益が使わないことの不利益を上回る,と判断された場合に限られる。
□一手目にて72時間経過を観察し,改善がみられない場合,二手目への変更を考慮する。奏効薬剤については総投与期間を7~10日間として,治療終了とする。
□上記の治療でも発熱の遷延あるいは呼吸器症状の増悪がみられた場合,抗菌薬に加えてステロイドの経口あるいは静注での使用を考慮する。いずれの場合も解熱しだい減量を開始,7日間程度で中止,が目安となる。
□年少児でチアノーゼを伴っている場合,あるいは年長児・成人で呼吸困難や重症感が強い場合は,マイコプラズマ感染症でも急性呼吸窮迫症候群など通常の肺炎とは別の病態が起きている可能性があり,あるいは他の病原体による混合感染を鑑別する必要もあるので,早めに専門医に相談する。
1) 成田光生:小児の肺炎 改訂版, 砂川慶介, 他編. 医薬ジャーナル社, 2016, p213-24.
2) 成田光生:日内会誌. 2013;102(11):2823-30.
3) 日本マイコプラズマ学会:肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針, 2014.
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