□ラッサ熱はアレナウイルス科アレナウイルス属に分類されるラッサウイルスによる全身感染症であり,ウイルス性出血熱の1つに分類される。
□ラッサウイルスの宿主は中央~西アフリカに分布するげっ歯類(Mastomys natalensis)である。
□流行地以外の地域で発生したラッサ熱患者数はウイルス性出血熱の中では最も多い。
□輸入感染例としてのラッサ熱患者が確認されている地域は主にヨーロッパであるが,1987年に日本でもラッサ熱輸入感染事例が報告されている。
□ラッサウイルスが病原体である。潜伏期間は5~21日である。ヒトはラッサウイルスが含まれる感染宿主の尿や体液を経気道経路で吸入することにより感染する。患者血液や体液には感染性ラッサウイルスが含まれるため,直接的接触によりヒトからヒトに感染する場合がある。性行為を介して感染する事例も報告されている。
□主な症状は,発熱,倦怠感,筋肉痛,腹痛,嘔吐,下痢,咽頭炎症状,胸骨背部痛,咳,結膜炎症状,顔面浮腫,出血(紫斑),意識障害であり,後遺症として難聴を残すことがある。口腔内や喉咽頭に潰瘍性病変が出現することがある。約30%のラッサ熱患者で出血症状が出現する。妊婦がラッサウイルスに感染した場合には重症化することが多く,また,胎児の予後は不良である。
□末梢血液検査において,白血球減少と血小板減少が認められることが多い。多くの場合CRPは陰性である。尿検査で尿蛋白陽性,潜血陽性を示すことが多い。肝機能酵素(ALT,AST,LDH)の上昇が認められ,さらに腎機能が障害されていることが多い。
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