□本症は第8脳神経由来の良性腫瘍であるが,ほとんどを前庭神経由来の神経鞘腫が占める。内耳道内に発生し小脳橋角部に進展,小脳,脳幹を圧迫するように発育する。
□初発症状の多くを,蝸牛神経症状である難聴,耳鳴などが占める。一方,腫瘍の起源神経である前庭神経の障害に起因するめまいの自覚は比較的少ない。内耳道内を同じく走行する顔面神経の麻痺をきたすことはさらに稀である。
□難聴は一側性で徐々に進行するものが多いが,急性に発症もしくは増悪する例も散見される。腫瘍が進展すると,三叉神経の障害による顔面知覚異常,小脳・脳幹の圧迫による中枢性の平衡障害,水頭症の合併による頭蓋内圧亢進症状も出現しうる。
□純音聴力検査:一側性の感音難聴を示すが,正常な例も稀ではない。聴力型は様々だが,皿形は本症に特徴的と言われる。
□自記オージオメトリー検査:後迷路性難聴を示すことが本症の特徴と考えられていたが,実際には内耳性難聴のパターンを呈する場合が多い。
□聴性脳幹反応(auditory brainstem response:ABR)検査:反応の消失または潜時の遅延が高率にみられる。
□温度眼振検査:症例により正常から無反応まで様々である。
□MRI:本症の診断,評価に必須である。高い空間分解能が得られる高度T2強調画像が本症の診断,評価には特に有用である。
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