No.4913 (2018年06月23日発行) P.19
登録日: 2018-06-18
政府の「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に関するワーキンググループ」は14日、過去に医療費の不払いの経歴がある外国人観光客に対する入国の制限を行うとした総合対策を公表した。今年度中に具体的な条件や関係省庁の連携体制を整理し、19年度にも試行的にスタート。20年度から本格的に実施する方針。
厚生労働省が2016年に実施した実態調査によると、対象となった1378医療機関のうち35%が1年間に外国人患者の医療費の未収を経験している。総合対策ではこうした現状を問題視。不払いなどの経歴がある外国人観光客の情報を厚労省が法務省に通報し、入国検査を厳格化するとしている。
総合対策では、厚労省が今年度中に医療機関と都道府県向けのマニュアルを作成することも明記した。マニュアルでは、パスポートの提示、診療開始前の想定金額の説明、未収金・法的紛争の防止のための対策など基本的な対応を整理。医療費の前払いが可能であることや、自由診療である外国人観光客に対する適切な診療価格の考え方も盛り込む。19年度には医療機関向け説明会・セミナーを開催するとしている。
また、外国人観光客に対する応召義務の考え方を今年度末までに整理するほか、感染症対策も強化する。近く、訪日外国人に対して結核の入国前スクリーニングを導入するとしている。