複数の医療機関から収集した患者の医療情報を個人が特定できないよう加工し、研究機関や企業に有償で提供する「認定匿名加工医療情報作成事業者」(認定事業者)として国の認定を受けるため、日本医師会が中心となって新法人の設立準備を進めている。日医の石川広己常任理事が20日の会見で明らかにした。
医療情報の第三者提供を巡っては、5月に施行された「次世代医療基盤法」により、医療機関が予め本人に通知し、本人が提供を拒否しない場合、認定事業者に提供することが可能になった。認定事業者については、高度な情報漏洩対策を実施し、十分な匿名加工技術を持つ組織を国が認定することとなっている。
日医は日本医療研究開発機構(AMED)からの受託事業で、かかりつけ医(診療所)を中心とした臨床データ、健診情報、介護情報などを収集・蓄積する「生涯保健情報統合基盤」の構築に取り掛かっている。4月の理事会では、この事業を運用する一般財団法人を設立し、賛同する医療関連団体と共に認定事業者になるための申請準備を進める方向性が決定されたという。
新法人について石川氏は「匿名加工の技術や患者からの同意の取得など、難しい課題があり、専門の職員を配置する必要があるので、日医の外部に設立する。日本薬剤師会、日本歯科医師会などの協力も得ながら進めていきたい」と述べた。