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英国のGP制度と日本の専門医制度の今後の方向性[J-CLEAR通信(95)]

No.4926 (2018年09月22日発行) P.48

後藤信哉 (東海大学医学部内科学系循環器内科学教授)

登録日: 2018-09-20

最終更新日: 2018-09-18

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1 英国の医療

新専門医制度の導入に当たり,わが国でも専門医制度が議論された。米国,英国など英語圏の諸国ではyes/noが明確である。できる人/できない人も明確に定義できる。AとBができれば内科専門医,CとDができれば循環器専門医など専門医の定義が明確である。A,B,C,Dをできるようにするために教育病院で訓練を受ける。専門医の資格を持てば完全に独立する。世界のどこにいても自分の専門医の登録番号にて診断書も作成できる。

わが国の特徴はあいまい性にある。外科の訓練を受けた人が開業して内科の患者を診ているケースも実態としてある。医師がやるべきことが,A,B,C,Dなどと規定されていないので,現場で実際の患者を診ながら学んでいくシステムとして機能している。yes/noの明確な英語圏では,事前に「正しい医療」が定義される。ランダム化比較試験により臨床的仮説を検証すれば,検証の結果yesとされた医療が正しい医療と認識される。専門医の訓練とは「正しい医療」を学ぶこととされる。わが国の医師が職人的,対人的であるのに対して,訓練を受けた欧米の専門医は医療システムの一部に組み込まれている。

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