2019年度与党税制改正大綱の公表を受け、三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)と四病院団体協議会が19日、合同会見を開いた。医療にかかる消費税問題への対応として、診療報酬(基本診療料)による補塡の精緻化と医療機関の設備投資への支援拡充の方向性が記されたことを巡り、三師会は「現行制度においては全体として問題は解消した」と評価。四病協も三師会と同様の評価を示したが、個別の医療機関の補塡のバラツキが残る点など「未解決の部分もある」と指摘した。
三師会と四病協は今年8月、消費税問題の抜本解決に向け、診療報酬による補塡の仕組みを維持しつつ、各医療機関の控除対象外消費税の補塡の過不足については個別の申告に基づき対応するとの案を合同で提言していた。
会見で日医の横倉義武会長は、提言の実現には至らなかったものの、税制措置に加え、19年度予算案に地域医療構想や医療のICT化を推進する基金の増額・新設が盛り込まれたことも併せ、「(社会保険診療が非課税扱いである)現行制度では消費税問題は全体として解決した」との認識を示し、他団体の幹部らもこれに同意した。
ただ、日本病院会の万代恭嗣副会長、全日本病院協会の猪口雄二会長、日本精神科病院協会の長瀬輝諠副会長、日本医療法人協会の加納繁照会長は「診療報酬による補塡の限界」を強調。将来的な再増税に備え、社会保険診療の課税転換に向けた議論をすべきと訴えた。
課税転換に関して横倉氏は、議論の必要性は否定しなかったものの、「10%引上げの段階では、国民や財政当局の反発を押し切って(課税転換という)ハードランディングする選択肢はなかった」と強調。その上で、将来的な課税転換についても、国民の医療費負担への上乗せや既存の事業税非課税措置の存続に関わる問題であるとし、難色を示した。
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