日本医師会の今村聡副会長は20日の会見で、医療従事者に対し、術後せん妄が起こる場合があることを患者に説明するよう求めた。手術を行った医師が術後の女性患者にわいせつな行為をしたとして2016年に準強制わいせつ罪に問われた事件で、東京地方裁判所が同日、わいせつな行為は実際にはなく、患者の術後せん妄である可能性が高いことから無罪判決を下したことを受けて発言した。
同事件について今村氏は、麻酔薬の量が通常より多かったことや、手術が短時間で終了したことなどから「せん妄になる可能性は高い」との認識を提示。その上で、「医療者は知識として知っていても、非常に忙しい診療の中で患者や家族に十分説明をしているか」と述べ、「十分に周知してほしい」と強調した。
被告人の医師については、事件が起きてから2年10カ月もの間、医療を行えない状況になっているとして、事件の早期収拾を求めた。