日本人のがんゲノム情報の取扱いについて日本医師会の横倉義武会長は17日の定例会見で、「わが国に蓄積されて、国民のために利活用されることが大変重要」と述べ、国内で管理ができるように法整備を行う必要性を訴えた。
がんゲノム医療のうち、1回の検査で多数の遺伝子を同時に調べる遺伝子パネル検査を巡っては、昨年12月に2種類が薬事承認され、近く保険収載される予定のほか、先進医療として2種類が実施されている。
会見で横倉会長は、現在、厚生労働省の「がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議」(議長=中釜斉:国立がん研究センター理事長)で、保険診療下で行う遺伝子パネル検査によって得たゲノム情報を、患者同意の下、 国立がん研究センターに設置する「がんゲノム情報管理センター」に登録し、将来的に新しい医療技術の開発など、患者に還元する重要性が議論されていることを紹介。その上で、「日本人に最適化されたゲノム医療を提供していくためには、国民のゲノム情報がわが国に蓄積されて、国民のために利活用されることが大変重要と考えている」と述べた。
一方で、現状の遺伝子パネル検査について「ゲノム情報を海外に持ち出して検査する方法が取られている」と指摘し、ゲノムの元データが日本で管理されていない状況を問題視。「診療に用いられたゲノム検査の結果が、レポートだけでなく、ゲノムの元データも含め、がんゲノム情報管理センターに適切に提出されるよう、国、専門医療機関、企業等の関係者が協力の上、医療保険上の取扱いや必要な法整備に取り組んでいただけるよう強く要望する」と強調した。