2019年9月5日に開催された厚生労働省の「入院医療等の調査・評価分科会」において2018年度診療報酬改定の影響度調査結果が発表され、回復期リハビリテーション病棟に「実績指数」が導入された2016年より前と比べると、導入後のFIM(機能的自立度評価法)利得が一気に増えたことが明らかとなりました。FIM点数は評価者の個人的判断が結果に影響を与えやすいので、恣意的な行為を生む可能性があるものは改善されなければなりません。
そこで私は新しく「基準リハビリ」制度を提案したいのです。基準看護10対1の病棟で40人の入院患者に対して20人の看護職員を配置し、さらに私が昨年8月8日の日本慢性期医療協会の記者会見において提案した、急性期病院で介護ケアを十分に行うための「基準介護」制度(https://jamcf.jp/chairman/2019/chairman190808.pdf)によって介護職員20対1を配置すると、40人の入院患者に対して10人の介護職員がいることになります。これに加えて、リハビリ療法士20対1を配置すると、40人の入院患者に対して10人のリハビリ療法士がいることになり、患者1人当たり、毎日4単位以上のリハビリを実施できることになります。しかもリハビリ療法士と患者1対1で20分間1単位の個別リハビリを提供しなければならないという縛りもありません。24時間、患者が過ごしている時間帯で、リハビリ療法士だけでなく、看護介護職員と協同で行うリハビリや集団リハビリなど自由なスタイルで日常生活復帰を目指したリハビリを提供することで、アウトカム評価による質の向上、そして早期改善が期待できるのではないでしょうか?
また、今までリハビリは急性期にはほとんどされず、1カ月前後の急性期病棟での入院後、回復期にリハビリを集中施行する制度になっています。しかし、発症した翌日すなわち急性期からリハビリを開始し、早期に改善させるほうがはるかに効率的です。急性期も慢性期も患者を集中的に治療して早く日常生活に戻してあげる医療を提供するのが、私たちの使命です。もうそろそろリハビリの出来高制度を止めませんか?
武久洋三(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)[リハビリテーション]