わが国では約10年前から、医療安全推進と医療の質向上に関して様々な取り組みが実施されてきた。医療安全対策加算の新設・改定や患者サポート体制充実加算の新設などと相まって、医療安全管理体制推進や患者・家族相談窓口の機能強化が、ますます求められるようになっている。
医療機関で日々発生しているインシデント、アクシデント事例の再発・未然防止を図るには組織全体での取り組みが必須であり、トップマネジメントはもとより、医療提供の主体者たる医師が主導する医療安全管理の重要性を指摘したい。
医療安全管理では、医療事故発生時の患者・家族へのdisclosure(真実の告知)、異状死の届け出、院内事故調査委員会開催と報告書作成、内部対応(当事者以外の職員対応)、外部対応(警察、自治体、第三者機関、弁護士など)、事故内容の公表やカルテ開示対応、再発防止策の策定と実施、実施後の評価、当事者(職員)支援など、重大な局面で医師の主導が求められる。
さらに、事故発生時のみならず、緊急時の報告体制の確立、および医療法に規定されている医療安全管理体制の構築や入院基本料・加算に関わる施設基準の確認についても医師の主導が欠かせない。
残り635文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する