子どもにとって医療を受ける環境は非日常的なものである。注射、検査、手術などは何らかの痛み、不安、恐怖心などを伴い、入院には多くの制約があり、必ずしも快適な生活が約束されるとは限らない。また、入院は子どもの発育・発達を阻害することが指摘されている。子どもの社会性や人間関係を育てる環境や遊びは制限され、病室という限られた空間の中で、(子どもにとっては恐ろしい?)医師や看護師などに囲まれ、家族からも離された生活を強いられる。
このような子どもたちがいかにストレスの少ない、また遊びのある「楽しい生活」を送ることができるかということは、子どもの医療における重要な視点である。
今まで日本の医療施設や医療者には、治療を受ける子どもの遊びや生活を支援するという考え方はあまりなかった。しかし最近、急速に子どもの療養環境や遊びの重要性が認識され,小児医療施設に保育士、医療保育専門士、チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)、ホスピタル・プレイ・スペシャリスト(HPS)、子ども療養支援士などが配置されるようになってきた。しかし、その数はいまだ十分ではなく、施設も限られている。
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