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【識者の眼】「個別指導でよく聞く『口頭で説明している』は算定要件を満たさない」工藤弘志

No.5031 (2020年09月26日発行) P.59

工藤弘志 (順心病院サイバーナイフセンターセンター長)

登録日: 2020-09-15

最終更新日: 2020-09-15

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今回から残り3回の連載では、保険医が認識すべきことや個別指導に関することを述べてみます。

(1)雑感⑧⑨(No.5022、5028)で述べたように、各種管理料や指導料には、診療録への記載要件が付帯されています。在宅医療等でも同様です。個別指導ではよく「口頭では説明しています」と関係者は言われますが、算定要件に「要点を診療録に記載すること」となっていますので、記載がなければ要件を満たしているとは言えません。診療録に記載していないことは請求できない、そして記載していないことを請求することは不当あるいは不正請求であるということを関係者は十分認識する必要があります。

(2)個別指導では、指導する行政側とされる側以外に、立会人といわれる方々がいます。これは主に医師会から派遣された担当理事です。これらの方々は立会の場を数多く経験されていますので、保険診療の要点や誤りやすい点等を熟知されています。会員の先生方で御自分の診療内容や診療録への記載、レセプトへの記載方法等保険診療に関する不安がある場合には、是非担当理事の先生に御相談されることをお勧め致します。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と申します。躊躇いなく御相談され、不安を解消して日常診療に励む方が、精神衛生上好ましいだけでなく、上記の不当あるいは不正請求を予防することになり、保険診療上も好ましい状態となるのではないでしょうか。

(3)個別指導には、新たに保険医になった医師や新たに保険医療機関になった管理医師に対して行う新規個別指導と、国と自治体から構成される選定委員会で決定された保険医療機関に対する個別指導があります。いずれにおいても、指導後は「概ね妥当」「経過観察」「再指導」「要監査」のいずれかの判定が行われます。

工藤弘志(順心病院サイバーナイフセンターセンター長)[保険診療雑感⑩]

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