バイオジェンとエーザイは12月10日、共同開発したアルツハイマー病(AD)治療薬候補アデュカヌマブについて、同日付でバイオジェンが厚労省に新薬承認を申請したと発表した。
アデュカヌマブは、アミロイドベータ(Aβ)を標的とする抗体。臨床試験(EMERGE試験、ENGAGE試験)で、脳内のAβを除去しADによる軽度認知障害や軽度ADの臨床状態の悪化を有意に遅らせることが示されたとされている。
アリセプト(一般名:ドネペジル)をはじめとする従来の認知症治療薬はいずれも症状の進行を抑制する薬で、病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。アデュカヌマブが承認されれば、AD当事者の疾患の経過に本源的な変化をもたらす初の治療薬となる。
アデュカヌマブは米国(FDA)と欧州(EMA)で既に承認審査が進行中。2021年3月7日までに終了するFDAの審査の行方に世界の注目が集まっている。
今回の承認申請についてエーザイの内藤晴夫CEO(写真)は「ADの病態の進行を遅らせ、できるだけ長く自立した生活を維持したいというAD当事者の想いに応え、高齢化社会における公衆衛生課題への取り組みにつながる重要な第一歩」とコメントしている。
エーザイが研究・開発を進める次世代認知症治療薬
【AD治療薬】aducanumab(抗Aβ抗体)、lecanemab(抗Aβプロトフィブリル抗体)、E2814(抗MTBRタウ抗体)、E2511(シナプス再生剤) 【レビー小体型認知症治療薬】E2027(PDE9阻害剤)