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多発ニューロパチー[私の治療]

No.5284 (2025年08月02日発行) P.49

鈴木千恵子 (弘前大学医学部脳神経内科診療教授)

登録日: 2025-08-04

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  • 多発ニューロパチーは,左右対称性で,四肢遠位部優位の症状を示す末梢神経障害である。末梢神経障害のうち最も一般的なタイプであり,典型的なものは手袋靴下型の症状を呈する。原因は代謝性,栄養障害性,遺伝性,免疫介在性,中毒性,薬剤性など多岐にわたる。実臨床で最も多いものは糖尿病性で,次にアルコール性,ビタミンB群欠乏症である。

    ▶診断のポイント

    四肢遠位部優位の感覚障害や筋力低下・筋萎縮,深部腱反射の低下・消失を認めたときに疑う。感覚障害が主体の場合には採血し,必ず血糖値,HbA1c,ビタミンB群を測定する。飲酒歴や,薬剤の使用歴などについても聴取する必要がある。末梢神経の機能検査としては神経伝導検査が行われる。異常のパターンにより,病理学的な障害パターンを推測することができる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    多発ニューロパチーは,病因にアプローチする根本的治療と,しびれや痛みなどの症状にアプローチする対症療法にわけて考える必要がある。根本的治療は原因によって大きく異なる。糖尿病性ニューロパチーであれば,高血糖の是正を行う。ビタミン欠乏によるものでは,不足しているビタミンの補充を行う。中毒性のものでは,原因薬物の中止が必要である。免疫介在性ニューロパチーでは,強力な免疫療法が必要になる。

    本症では,しびれや痛みといった症状をしばしば伴う。病因にアプローチする根本的治療を行いつつ,並行して対症療法を行うことが重要である。

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