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【識者の眼】「コロナ病床の空床確保と自宅やホテル療養者への医療支援」川口篤也

No.5051 (2021年02月13日発行) P.57

川口篤也 (函館稜北病院総合診療科科長)

登録日: 2021-02-02

最終更新日: 2021-02-02

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新型コロナウイルス感染者が増えており、病床の逼迫により入院適応のある人が入院できなかったり、自宅療養中の急変や死亡者も増えてきており、その批判の矛先がコロナ患者を診ていない民間病院にも向けられている。

このような状況を改善するために、まずは感染患者の入院診療を行っていない医療機関が、急性期治療が終了しても自宅等にすぐに戻れない患者の転院受け入れを行い、急性期病床を確保することが大事である。現在の厚生労働省の退院基準は発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後72時間経過した場合などである。しかし、受け入れ病院の方で10日では不安という声が聞かれる場合には、重症者・免疫不全患者でも14〜20日経過で感染性がなくなるという報告があるため、受け入れ基準を14〜20日経過した症状軽快者とするのも一つの方法だろう。

それと、施設・在宅療養、ホテル療養者の健康観察を保健所だけではなく、病院やクリニックの医師も行うことが急変を防いだり、重症者の速やかな入院につながる。もちろん直接診療するのでは感染リスクや時間確保の問題で難しいため、基本、最初にリモート診療を行い、以降の毎日の状態報告はLINEなどで確認し、変化がある場合には適宜リモート診療を行い、入院が必要と判断した際には保健所に連絡し受け入れ医療機関を選定してもらうこととすれば医師の負担はそこまで多くはないだろう。それを毎日保健所とメール等で情報共有しておく。状態把握のためにパルスオキシメーター配布は必須で、酸素化が悪い人ですぐに入院できない人にはデキサメタゾン投与もプロトコール化したり、自分でリモートデバイスにアクセスできない人は、ホテル療養としてそこに配置されている看護師等が報告することとする。これは施設クラスターの際にも同様の方法で行える。

もちろん上記に協力する場合には診療報酬等でのバッグアップは必須であろう。このような方法で少しでも現状が改善されることを期待する。

川口篤也(函館稜北病院総合診療科科長)[新型コロナウイルス感染症]

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