厚生労働省は6月25日の社会保障審議会医療保険部会に、オンライン資格確認等システムの普及に向けた今後の対応を説明した。同システムの本格運用開始時期は当初、2021年3月を予定していたが、新型コロナウイルスの影響による医療機関のシステム改修の遅れや、保険者が管理・登録する加入者データの不備などを理由に10月に延期された経緯がある。同省は、すでに顔認証付きカードリーダーの申込みが完了している約13万の医療機関・薬局に早期導入を呼びかけ、プレ運用参加施設を順次拡大しながら、10月の本格運用につなげていく道筋を示した。
厚労省によると、顔認証付きカードリーダーの申込医療機関・薬局数は6月20日時点で約13万施設となり、全施設の57.1%にまで伸長。施設種類別では、▶病院約6400施設(申込率77.6%)、▶薬局約4.9万施設(81.6%)、▶医科診療所44.7%―などとなっている。カードリーダーの配送数は5月末時点で約7.1万台。
3月時点でわずか54施設だったプレ運用参加施設も、6月21時点で732施設に増えた。その内訳は、▶病院85施設、▶医科診療所225施設、▶薬局211施設―など。ただ、参加施設が順調に拡大する一方で、マイナンバーカードの普及や健康保険証としての利用登録が進まないという課題も顕在化している。実際、保険証としての利用登録済件数は440.3万件で、交付済みカード数の10.4%にとどまる。
こうした現状を踏まえた今後の対策として、厚労省は7月に「集中導入開始宣言(リスタート宣言)」を実施。7月から本格運用開始の10月までの間を「集中導入期間」と位置づけ、主にカードリーダーを申込み済みの約13万施設を対象に、プレ運用の参加を促す各種施策を展開していく方針を部会に説明した。これと並行し、マイナンバーカードの保険証利用のメリットなどを一般向けに広報する活動にも注力していく考え。本格運用開始時の10月には、マイナポータルでの特定健診情報の閲覧や薬剤情報の閲覧も可能になる予定で、22年3月までに全医療機関・薬局の9割程度への導入を済ませることを新たな目標に設定する。