社会保障審議会医療保険部会は8月28日、2026年度診療報酬改定の基本方針に関する議論に着手した。今後、社保審医療部会と並行して月1回程度のペースで検討を進める。基本方針のとりまとめは12月上旬となる見通しだ。
基本方針は、改定にあたっての基本認識、改定の基本的視点と具体的方向性などで構成。24年度の前回改定の基本方針は改定の基本的視点に、(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進、(2)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進、(3)安心・安全で質の高い医療の推進、(4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上―の4項目を掲げ、(1)を重点課題に定めた。
基本方針の決定を受け、中央社会保険医療協議会で個別改定項目について議論し、(1)の診療報酬上の対応では「ベースアップ評価料」の新設や基本診療料の引上げなど、(2)の医療DXの推進では「医療DX推進体制整備加算」の新設などが実施された。
同日の部会では、前回改定の振り返りとフリーディスカッションが行われた。この中で診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、医療機関経営は、職員の賃上げ対応にも苦慮するほどの窮状に追い込まれていると説明。その上で、医療機関に勤務するすべての職員の賃上げが可能となるよう、「ベースアップ評価料」の対象職員に関する要件の緩和または、基本診療料の引上げを検討することや、次回改定は医療機関に過度な負担をかけないためにも大幅な適正化や見直しは行わず、前回改定による不合理の見直しにとどめる―ことなどを要望した。
支払側の佐野雅宏委員(健康保険組合連合会会長代理)は、医療機関の厳しい経営状況に一定の理解を示しつつも、医療保険制度の持続可能性確保の視点も重要と主張。そのためには医療の質を維持しながら、これまで以上に適正化・効率化をすすめることが不可欠との認識を示した。村上陽子委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は、医療従事者の処遇改善を充実させる一方で、医療提供体制は効率化を図るなど、メリハリの効いた改定の実現を求めた。