中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会は8月4日、医薬品・医療機器の費用対効果評価制度の見直しで、関係業界からのヒアリングを実施した。この中で製薬業界は、企業分析期間の延長を強く求めたが、難色を示す委員が大勢を占めた。
費用対効果評価における企業分析は、分析の枠組みを決める「分析前協議」と、決定した枠組みに基づいて行う「企業分析」で構成。分析に要する標準的期間は、両者を合わせて9カ月に設定されている。
現在の標準的分析期間について、日本製薬団体連合会(日薬連)と日本製薬工業協会(製薬協)は、分析前協議で決まった分析の枠組みの内容次第では、臨床試験データなどの再解析が必要になり、企業分析を期間内に終えられないことがあると指摘。分析の枠組みが対象となる臨床試験のデザインと大きく異なる場合などは、その度合いに応じて企業分析の期間を再設定する運用に改めるよう要請した。
企業分析期間中の効能追加の扱いにも言及。前回の部会で費用対効果評価専門組織は、当初の効能の分析期間中に一定の準備が可能だとの見解を示したが、日薬連・製薬協は、効能追加であっても当初の効能とは異なる分析の枠組みの検討や、それに基づく企業分析が必要だと反発。効能追加から企業分析の提出までの期間は少なくとも9カ月は必要だと主張した。
比較対照技術よりも費用が削減される、いわゆるドミナントに該当する場合の価格調整ルールの見直しも求めた。現在は、ドミナントとなった場合も一定の条件を満たさない限り、価格引き上げの対象にはならない。これに対して日薬連・製薬協は、ドミナントは費用対効果が優れることを示す結果だとし、一部の分析対象集団がドミナントとなった場合は、条件に関係なく価格引き下げ対象から除外するなどの対応を検討するべきだとした。
企業分析期間の延長要望に対し、委員の多くは、費用対効果評価結果を可能な限り早期に薬価などに反映されることが望ましいとの考えから、否定的見解を示した。