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【識者の眼】「マインドフルネス呼吸法」山本晴義

No.5089 (2021年11月06日発行) P.56

山本晴義 (労働者健康安全機構横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長)

登録日: 2021-10-25

最終更新日: 2021-10-25

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身体を休めているのに心が休まらない、疲れが抜けないということがないだろうか。このような状態が続くと、慢性的な疲労感から、行動や身体にも様々な影響が及ぶ可能性が高い。

我々は、コロナ禍で気がつかないうちに緊張を強いられやすい。緊張時や不安時は呼吸が浅くなるが、その逆も然りで、呼吸が浅いと不安になりやすく、ストレスもたまりやすい。頻繁に使うスマホは、猫背気味の姿勢で続けることも多く、口呼吸になりやすい。口呼吸が増えると呼吸は必然的に浅くなる。我々の生活スタイルは浅い呼吸が生じやすいスタイルとも言える。

そのため、普段から深い呼吸を心がけたい。“マインドフルネス”という言葉も聞かれると思うが、解釈の差は多少あるものの、深くゆっくり呼吸をしながら瞑想を行うことで得られるストレスコントロールの一種である。自分や周りの状態に意識を向け、ありのままの状態を感じることによって半覚醒の状態をつくり出し、緊張や不安の緩和を促す。ここでは、10分でできるマインドフルネス呼吸法を紹介する。

①楽な姿勢で座る

②肩を外側に何回か回して胸を開く姿勢をとる

③肩の力を抜き、目を閉じる

④肺の中にある空気を吐き出すイメージでふーっと、大きくため息をつく

⑤鼻からゆったりと1・2・3・4で大きく吸い、ふーっと口をすぼめた形で5・6・7・8・9・10でゆっくりはきだす。10回程度繰り返す。

⑥呼吸になれたら、足の先から頭まで順を追って、心の中で観察をする

(例:肩が凝っているな、つま先が冷たいな)

⑦さらに、周りの空気の感じや聞こえてくる音などに意識を向けてみる

⑧何度かやって慣れてきたら心の状態にも意識を向けてみる

(例:なんとなく気分が重いな、さっきより落ち着いているな)

⑨ゆっくりと目をあけて終了する

集中力の向上や質の良い睡眠にもつながりやすい。空き時間を利用してぜひ生活に取り入れて頂きたい。

山本晴義(労働者健康安全機構横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長)[マインドフルネス][ストレスコントロール]

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