中央社会保険医療協議会薬価専門部会は11月5日、2022年度の薬価制度改革に向け、中間年の薬価改定のあり方や高額医薬品への対応などについて議論した。中間年の薬価改定では、日本薬剤師会が薬局の経営悪化を理由に実施に反対姿勢を表明。改定対象を市場実勢価格との乖離が著しく大きい品目に限定することを提案した日本医師会との間に、意見の相違がみられた。
この日は、①新規後発品の薬価算定、②調整幅のあり方、③高額医薬品への対応、④中間年改定―について意見交換した。
このうち、③の高額医薬品に関しては、現在でも薬剤費の適正化を図る仕組みとして、「外国平均価格調整」、「市場拡大再算定」、「費用対効果評価」がある。だが、今後は、アルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」(年間薬剤費約610万円)のように、市場規模が従来の想定を大きく上回る高額医薬品の承認が見込まれている。そのため厚生労働省は、国民皆保険の維持とイノベーションの推進の両立や、国民負担を軽減する観点から、対応策を検討することを部会に求めた。
④の中間年改定は21年度に初めて実施。その際には特許期間中の新薬を含め、全品目の69%が改定対象となったが、関係業界は乖離率が著しく大きい品目に対象を限定することや、特許期間中の新薬を対象から除外することを強く求めている。
中間年改定について、診療側の城守国斗委員(日医常任理事)は、「通常改定とは異なる位置づけのものであり、市場実勢価格との乖離が著しく大きい品目に限定して薬価を補正するものと理解している」と、関係業界の要望に一定の理解を示した。これに対して有澤賢二委員(日薬常務理事)は、「改定を境に薬局の資産は一気に目減りして経営状況が悪化している。診療報酬改定がない年に薬価改定を行うべきではなく、中医協で慎重に判断していただきたい」と要請した。
一方、高額医薬品の対応で安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、原価計算方式、費用対効果評価、市場拡大再算定などの既存ルールを組み合わせた「複合的な対応」が必要になるのではないかと指摘。城守委員は、高額医薬品であっても有用性・安全性が確認された薬剤は保険適用することが原則だとの基本姿勢を示した上で、薬事承認や薬価算定を担う組織体制、薬価収載後の費用対効果評価や市場拡大再算定ルールなどの充実・強化を検討する必要があると述べた。