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【識者の眼】「日本の新型コロナウイルス対策は本当のところどうなのか(8)─では、米国民はどんな保険制度でどの程度カバーされているのか」佐藤敏信

No.5094 (2021年12月11日発行) P.64

佐藤敏信 (久留米大学特命教授、元厚生労働省健康局長)

登録日: 2021-11-30

最終更新日: 2021-11-30

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前回(No.5091)、米国民の保険制度の加入状況について示した。もう一度その時のグラフ(図 1・21)を見ていただく。言えることは、①企業保険加入者が微減、②Medicaid(医療費扶助制度)、Medicare(高齢者医療)が増加、③Uninsured(無保険者)が減少した、と言うことである。

②③については、2008年以降徐々に改善しつつあったのだが、それにしても2014年に施行されたPatient Protection and Affordable Care Act(ACA)・オバマケアが弾みをつけたと言えるだろう。

またこれらの割合が州ごとに大きく異なるというのが興味深い。2019年のUninsuredの割合を地図グラフ(図 31)で示した。ニールさんによれば、一般的に民主党優位の州が手厚いとのことである。

日本との比較は簡単ではない。Medicaidの場合で言うと、日本の生活保護の医療扶助人員数はここ数年170万人程度で推移していて、全人口に占める割合は1.35%である。Medicareについては対象年齢が65歳以上である。日本の後期高齢者医療制度の場合が75歳以上であるため、前期高齢者も含めた65歳以上でみると、約2800万人・22%となる。

【文献】

1)Health Insurance Coverage of the Total Population.

  [https://www.kff.org/other/state-indicator/total-population/?currentTimeframe=11&sortModel=%7B%22colId%22:%22Location%22,%22sort%22:%22asc%22%7D

佐藤敏信(久留米大学特命教授、元厚生労働省健康局長)[費用負担の日米比較]

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