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【識者の眼】「『看護補助者』と呼ばないで」武久洋三

No.5100 (2022年01月22日発行) P.60

武久洋三 (医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)

登録日: 2021-12-27

最終更新日: 2021-12-27

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近頃、医療関係マスコミ記事に良く出現しているのが「看護補助者」という言葉です。看護補助者とは「付き添い看護」をなくすために生まれた言葉であり、正に看護師の指導の下に看護業務の一端を担わせ、医療現場をより近代的にするための方策でした。そしてこの言葉は、1950年に「完全看護」制度創設の際に初めて使われました。1958年には「完全看護」から「基準看護」へと名称変更されましたが、現場ではまだ従来の「付き添い看護」がほとんどでした。そして1994年に「新看護体系」と「看護補助体系」が創設されました。ここで「付き添い看護」の解消を円滑に進めるために付き添い看護解消計画加算が新設され、1997年にすべての病院で「付き添い看護」が廃止されたのです。

ひるがえって現在の医療現場はどうなっているのでしょうか。わが国では高齢化が進み、2000年に介護保険制度が始まりました。1989年に国家資格である「介護福祉士」が創設され、現在、介護福祉士登録者数は181万3000人です。

また、現在わが国で介護保険給付の対象となる介護サービス事業所、介護保険施設に従事する介護職員数だけでも2019年度で約211万人います。さらに介護施設や在宅だけでなく、入院患者の80%近くが高齢者となっている病院でも介護の需要が急速に高まってきているのです。

しかし現在、病院の「看護補助者」の就職希望者が激減しています。なぜなら2009年10月から介護施設・事業所で働く介護職員に対して「処遇改善加算」が給付されているからです。介護福祉士の方に聞くと、「病院で働いていても『看護補助者』として看護師の命令・指示のもとに業務を遂行することばかりだし、国からの処遇改善加算ももらえない」と言います。

現在、病院では介護力が少なく、とても困っています。看護師が仕方なく介護業務を担っています。何とか「看護補助者」を「介護職員」と言い換えてもらえませんか? 日本看護協会の皆様お願いします。病院の現場の看護師さんも夜勤は特に介護の専門家がいてくれるととても助かると言います。介護職員が介護施設では「介護職員」、病院では「看護補助者」となる処遇環境を変えていただけませんか? 国家資格の介護福祉士でも「看護補助者」としか呼ばれていないのです。困っている現場から心を込めてお願いします。

武久洋三(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)[介護職員]

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